国の重要文化財
正式名称は【木造阿弥陀如来座像仏】。像高は2.84m(9尺4寸)あり、山口県内では最大の仏像。昭和19年9月1日に「国宝保存法」により国宝に指定。現在は昭和25年の「文化財保護法」にて、国指定の重要文化財〈旧国宝〉です。
材料はひのきで寄木造り。彫眼。漆箔。造像様式から、平安時代の後期(1100~1185)の造顕と考えられます。光背は二重円光〈上円を頭光、下円を身光〉で、唐草文の彫刻に彩色。台座は八角形の着衣が長く垂れかかる裳懸座と称します。
西方極楽浄土を向かれ、人々を浄土に迎い現れる【上品下生 来迎の印】を結ばれた阿弥陀如来の大仏像は、昭和27年の文化庁による仏像の解体調査の結果、造立当初のまま、とても良い状態にて守り保存されていたことが証明されました。
西を向く阿弥陀如来
平安時代の末期、藤原政権時代。巨大な木造の阿弥陀如来尊像が迎えられました。 古より瀬戸内海は政治的に重要な場所でありました。ここは藤原氏一族の荘園に当たり、都人にとって極楽浄土に一番近い憧れの地。海から迎えられたと伝わる日見大仏の伝説は偶然ではなく、地勢的にも阿弥陀信仰上も必然なことでした。
大仏と夕日を見る
秋のお彼岸からの午後、境内から見る海がキラキラと輝き出します。立冬と立春の頃、紅い夕日は海を隔てた向かいの対称する山の間に落ち【山越えの阿弥陀】の風景の如く見え、西長寺は極楽浄土を観想する【日想観】の大道場となります。
鳳凰が羽を広げた如くの景勝地。当時は〈穴場〉と呼ばれ、入江の海に夕日が映え、反射の光は御堂内の阿弥陀大仏を金色に輝かせたと伝わります。